ブログ村クリックもいつも本当にありがたいのですが、思うところあって先日よりランキング不参加に変更致しました。本当は数ヶ月前から弄りたかったんだけど、方法が分からず放置してたんですよw今までクリックして下さった方、本当にありがとうございました。よろしければこれからも遊びに来ていただけると嬉しいです。
私にしては超スピードの1週間でフルコンプ。攻略サイト様を見てもなかなか理解できず手こずりましたが、ストーリー性とゲーム性が上手くマッチした名作でプレイ中は本当に充実した時間を過ごせました。
月村についてゲームのタイトルと同じく「薔薇ノ木ニ…」ではじまる北原白秋の詩があります。生命の不思議を賛美したそれとは対照的に、ゲーム中で描かれる薔薇には常に死のイメージがつきまとう。櫻の古木に巻きつくことで生きながらえている弦薔薇は、要の言葉を借りればまさしく
"生きてるのか死んでるのか分からない"存在。
その言葉はそっくりそのまま月村自身を指しているかのようでもあります。
月村の持つ異常性はゲームのかなり早い段階で示唆されており、この人は普通じゃない、いわゆるヤンデレの系統にいるキャラクターだとプレイヤーは感じとることができるでしょう。
彼がどういった事情を抱え何を想って天野を殺害し、花喰ヒ鳥として要を脅かすに至ったか?その辺りの事情は、月村の手記と彼自身の√を見ればある程度は把握できます。
しかしそれだけでは、十分に月村という男を理解したとは言えない。
私自身、月村先生の手記を読んでネタが分かってしまっても"なーんだ"くらいの印象で、ありがちな展開にがっかりでした。また安易な病みかよ、みたいなwしかしそのすぐあとに抱月&要√をプレイし、私の判断は間違ってたなぁとつくづく感じたんです。
月村が病んだ人間であること、ヤンデレ要素を持っていること。それ自体は単なる出発点に過ぎず、月村の物語は抱月&要と組み合わせて初めて一幅の絵になる。
彼の人間性と彼等の結びつきを踏まえて考えると、この構造は非常に心憎いなあと思うのです。
抱月と月村と要と月村√自体は「はぁ、さいですか」程度の感想しか持ち合わせていない私ですが、抱月&要√を踏まえて考えると泣けて萌えて仕方ない(´;ω;`)
互いに自殺した母を持ちながら、愛の通わない家庭で育った月村と、父からの愛はあるけれど妾の子という地位に甘んじる要。「月村/日向」という苗字からも分かる通り、全編を通して彼らは対になる存在として描かれています。
しかし抱月√をプレイすると、彼もまた月村とセットとして捉えられることがよく分かる。
多感な学生時代、抱月はどこか謎めいた月村に激しい恋をします。相手が感情を理解しない人間だということが分かってもなお、彼の唯一の美徳に望みをかけ、月村を更生しようと懸命に働きかけました。
結果的にそれは届かず、望み絶たれ苦い想いを味わうのですが…しかし後に月村が抱月と同じ行動をとっているのがとても興味深い。
抱月が月村を変えようと行動したように、月村もまた要を作り変えようとしました。文字通り命を懸けたその所業は狂気の沙汰ですが、それもこれも要への愛情ゆえ。
学生時代から今に至るまで、恐らく月村は抱月の想いを一切理解しなかったと私は思うのです。にも拘らず、抱月&要√の最後に、彼が抱月の愛情表現を真似ていたのだと分かるのがもうね…めちゃくちゃしょっぱい!(´Д⊂
抱月から向けられた愛情はそのまま打ち捨てられていたのではなく、ちゃんと月村の中に染みわたったんですよね。けれどそれだけでは作用せず、要への執着心を持ったことで初めて月村の中に芽吹いたという現実の儘ならなさが切ない。
しかも抱月がかつて愛した月村よりも要を選んだあとで、はじめてその事が分かるというのが辛いしやるせないですね。
ちゃんと報われたのに結果的には哀しい、というシチュエーションに思わず打ち震えました…!
人と人の間で生きること抱月では駄目で、だけど抱月との下地があったからこそ、月村は要を愛することができたんじゃないかな。
要にしても母が自殺・この世に一人ぼっちという状況下で、月村が示した愛情は大きな慰めになったでしょうし、抱月の場合は未だ月村に囚われ続けているので言わずもがな。
意識しようとしまいと、互いに影響を与えもつれ絡み合う関係のなかで最終的に結び付いたのが抱月と要だった、というのも随分な皮肉だなぁと思います。
だってそれって月村を介しての関係じゃないですか。
「僕らは幹彦を間に置いて、生きてゆかないか?」とは、抱月&要√エンディングの言葉ですが、月村を失った二人の間にはそういう関係しかあり得ないのかと思うと、何とも言えない心持ですね。
それは傍から見たら傷の舐め合いのような、共犯者のような関係。だけど本人達にとっては幸せな三角関係なのかもしれません。月村という鎖でより強固に結び付く絆、なのかもしれない。
それにしても月村という人間のどうしようもなさ、これはもういかんともしがたい。ああいう風に生まれついたのは彼自身の責任ではないし、月村の中を探ったとき、愛情というケースでまず思い出されるのが抱月だったとかもう本当にね、只々憐れというか…(´;ω;`)
そもそも私は(いろんな意味で)病んでるキャラがむしろ地雷なんですよ。安易に悲劇に結びつくのに鼻白んでしまうのと、現実に照らし合わせて辛くなるから。なのに月村を受け入れられたのは、やっぱり抱月の存在が大きいですね。
そして月村エンドを迎えた要の感情ーーあれは、私にはどうしても月村に対する恋情だとは思えないのです。同情の様な、肉親への愛情の様な…そういう類の比重の方が大きいような気がする。これはセックスシーンのないPSP版をプレイしたせいかもしれませんがw
要&月村のその後は本当に穏やかで、何はなしにそう感じさせるものがありました。
やっぱり私は、恋だけで要が月村の余生を引き受けるのは嘘だろ!と思ってしまうのですよねぇ。要の性格的にもね。
もちろん恋の部分もあるんだろうけど、恋でも同情でも、とにかく自分を投げうってでも現世に引き留めておきたいくらい大事な存在、って方が個人的にぐっとくる。彼らの結びつきってそのくらい深いものだと思うし、何よりあの√の彼らには本当に互いの存在しかない、という感じが物凄くするのですよね。
そして月村√の最後が、要が丹精込めて育てた光溢れる庭だというのがいい。すごくいい。
モノクロームの世界に生きた月村にとって、緑鮮やかな庭はどう映ったのでしょうか?要を通して情だとか人との絆だとか世界の美しさ、そうしたものを感じ取れてたらいいのにな…と素直に感じられるエンディングでした。
本当に感無量!今後は草香先生に着いていきたい所存です。またゲームのシナリオやってくれないかなあ。
そして薔薇木、なにげに10周年だそうですね。おめでとうございますー!ちょうどスタートさせたのが発売日の翌日(2/22)で、何か運命めいたものを感じました。こじつけすぎかしらww
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